コレクション

国宝

清拙正澄墨蹟 遺偈

せいせつしょうちょうぼくせき ゆいげ

  • 紙本墨書 36.6×92.4cm
  • 南北朝 暦応2年(1339)
No.11029

清拙正澄(1274-1339)は元時代の高僧月江正印(げっこうしょういん 1267-?)の実弟にあたる。日本からの求めに応じて嘉暦元年(1326)に来日、建長寺、浄智寺、円覚寺に住したのち、後醍醐天皇の勅命によって上洛、南禅寺・建仁寺の住持をつとめた。

この墨蹟は暦応2年(1339)正月17日、死期を悟った清拙が弟子のために筆をとった末期の句である。

 

毘嵐空を巻いて海水立つ。三十三天星斗湿う。地神怒って把る、鉄牛の鞭。石火電光追えども及ぶ莫し。珍重せよ、首座大衆。暦応二年正月十七日。正澄(花押) 方印「正澄」

 

冒頭の三文字をとり「毘嵐巻」と通称される。建仁寺禅居庵には、この幅専用の「龕割床(がんわりどこ)」があったと伝えられる。