展示情報

東京国立博物館 東博コレクション展《明末清初の書画 乱世に見る夢》

期間
2026年2月10日~3月22日
会場
東京国立博物館東洋館8室

常盤山文庫所蔵の重要文化財、中峰明本筆の墨蹟が東京国立博物館の東博コレクション展《明末清初の書画 乱世に見る夢》展示されます。

中国の高名な禅僧の書いた書「墨蹟」は、日本には数多く残っています。一方中国には、中国でも高名な僧の字でありながら残っていません。なぜでしょうか?歴史的に早くに書を芸術としてとらえた中国において、後の世でも鑑賞するに値する文字を書いたとされた人々とは大方が科挙を通り中央で活躍したような政治家で、その書は、歴史的に貴ばれてきた書を学びその規範を理解した上で自分自身の個性も発揮したものでした。そうした書を鑑賞対象とする中国の人々にとって、規範のない禅僧の文字は鑑賞の対象とはならなかったのでしょう。日本に墨蹟と称して禅僧の書が残っているのは、文字や書体の美しさを焦点とした文字の鑑賞のためではなく、書いた人への尊敬の念に拠るものです。
 今回展示される書の中峰明本(1263-1323)は中国元時代を代表する禅僧です。官寺の招きに応じることなく、舟中に住んだり庵室に起伏したりして自らを「幻住」と称しました。その世俗を脱した高徳を慕って、日本から数多くの修行僧が訪れました。この墨蹟は中峰が日本から渡った「済」という名の侍者に、その修行を励ますために与えた墨蹟(警策)です。
 中峰の書体は独特で、笹の葉の先端の鋭さになぞらえて「笹葉(ささのは/ささっぱ)中峰」と評されます。「規範がない」と表現されることもある禅僧の書ですが、その個性的な筆跡から彼がどんな人だったのかを想像したり、また禅僧を尊敬し、その書を掛け軸に仕立てた後世の人々の表装にも注目していただけたらと思います。

主な展示情報

  • 重要文化財 中峰明本墨蹟 済侍者宛警策