コレクション

張果老・鉄拐・呂洞賓図  啓孫 筆

 ちょうかろう てっかい  りょどうひん    けいそん

  • 紙本墨画淡彩 121.0×54.3㎝(各)
  • 室町時代 16世紀
No.13031

神仙世界や不老不死の仙人に対する関心は中世の禅林社会において深まり、武家社会にも広まった。この三幅対では、道教の仙人で超人的な能力を持ち八仙と称されるうちの三人、張果老・呂洞賓・鉄拐を描く。張果老は紙のように折り畳んだ驢馬を収めた瓢箪を提げた後ろ姿で表され、鉄拐は崖に岩上に座して自らの魂を遊離させる姿、呂洞賓は師の鍾離権(しょうりけん)から秘宝を授かり巻子を広げる姿で描かれる。
 各幅下部に「啓孫」白文方印が捺され、関東水墨画の主要画人である啓孫の筆とわかる。啓孫はおよそ16世紀前半に活躍したとみられ、京都から中央様式を関東に移入した祥啓の様式に倣いつつも、執拗に描きこむ煩瑣な筆法を示す作例が多い。関東画人のなかでは比較的多く作品が遺存しており、画題も人物・山水・花鳥と多岐にわたる。

来歴
 前田家 - 浅野家

『飛梅余香』常盤山文庫、1967年(解説 菅原壽雄)
『墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 河合正朝)
『入城400年記念 広島浅野家の至宝』広島県立美術館、2019年(解説 隅川明宏)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 高橋真作)