コレクション

月に兎図   蔵三 筆

つき に うさぎ ず    ぞうさん

  • 紙本着色 96.1×48.3㎝
  • 室町時代 16世紀
No.13032

右から左にかけて斜めに画面を切る土坡の上に二羽の兎がうずくまるようにして月を眺める様を描く。兎は前後で色の調子を変えながら胡粉を彩し、毛並みも同様に細く丹念に胡粉を用いて表している。現在は剥落し褐色化しているが芒などの下草は緑青で描かれていた。土坡には淡墨を施し、円く大きな月は外隈によって画面から浮き上がらせる。いわば没骨描(もっこつびょう)とでも言うべきもので、同時代の水墨画とは異なる画趣をたたえている。蔵三には本図のほかにも、中国絵画に学んだ着彩による精緻な花鳥画が伝わっている。

掲載図書
松下隆章『室町素墨画』第一輯、室町水墨画刊行会、1690年
『菅原通濟愛蔵美術展』毎日新聞社、1964年
『飛梅余香』常盤山文庫、1967年(解説 菅原壽雄)
『常盤山文庫名品展』神奈川県立博物館、1983年(解説 衛藤駿)
『常盤山文庫名品選 墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 河合正朝)
『常盤山文庫×慶応義塾 臥遊―時をかける禅のまなざし』慶應義塾ミュージアム・コモンズ、2003年(解説 松谷芙美)