コレクション

白磁三足把杯

はく じ さん そく は はい

  • 高4.5㎝ 口径9.8㎝ 底径3.8㎝
  • 盛唐 8世紀
No.21083

端反りの杯に環状の把手と獣足を象った三足がつく白磁把杯で、端反りの縁は薄く、獣足は細く小さいながらも力強さのある形であり、丁寧にきっちりと作られた作品である。本作の類品が8世紀前半の紀年墓から出土している。この形はやきもの本来のものではない。同時代の金属器にしばしばみられる環状の把手や獣足などから、金属器を祖型としたものと思われる。本作と同形の金属器を見出すことはできないが、三足と把手のつく浅い盤という形は中国で「鐺(とう)」と呼んでいる器種と共通しており、大量の金属器が出土したことで有名な陝西省何家村の窖蔵から金製のものが出土している。バリエーションとして本作の祖型となるようなものもあったのかもしれない。

掲載図書
常盤山文庫中国陶磁研究会会報7『初期白磁』公益財団法人常盤山文庫、2018年(解説 佐藤サアラ)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 三笠景子)