白磁小円硯
はく じ しょう えん けん
- 高2.3cm 硯面径5.0㎝ 底径5.5㎝
- 隋~初唐 7世紀
No.21084
隋から唐の白磁資料を収集してみると、この時期に特徴的な出土品の一つに、中国で「辟雍硯(へきようけん)」と呼ばれる多足の円硯がある。常盤山文庫には白磁3点、緑釉1点の円硯があるが、円硯には当文庫所蔵のように硯面を支える多足の下に円環を伴うタイプと、円環を伴わないタイプの二種があり、これまでの出土資料では、前者は陝西省および寧夏固原、後者は河南省と出土地域が異なっている。先に現れるのは円環を伴わない多足のタイプで、6世紀末頃の河南省安陽に現れ、そののち隋も7世紀に入ると陝西省で、河南省とは異なる円環を伴う形のものが現れるようになる。常盤山文庫所蔵のものはそれぞれ足の数、形が異なるが、いずれも7世紀以降に西安で出土するタイプ、足に円環を伴うものである。
掲載図書
常盤山文庫中国陶磁研究会会報7『初期白磁』公益財団法人常盤山文庫、2018(解説 佐藤サアラ)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023(解説 三笠景子)