白磁杯
はく じ はい
- 高7.1㎝ 口径9.0㎝ 底径3.6㎝
- 隋
No.21068
純白の土に透明の灰釉をかけて高火度焼成した白磁杯で、つややかな釉は貫入に覆われる。外開きに削り出された高台は中央わずかにくぼみ、縁を斜めに面取りしている。裾から口縁に向かって直線的に開く白磁杯には寸法に大小があり、当財団は両方を所蔵するが、本作は小さい方にあたる。6世紀末から7世紀にかけて河南省安陽に多く出土した杯は器壁が丸みを帯びているが、それと異なりこのように器壁が直線的に開く、あるいは立ち上がる形の白磁杯は、現在までに収集できる資料の範囲では7世紀初頭の陝西省および寧夏回族自治区固原に出土が限られている。これまで唐時代とされてきた白磁杯であるが、唐に至ってはこの形の杯は見当たらず、現在までの出土資料からは唐にはくだらない隋の白磁と考えられる。
掲載図書
『常盤山文庫と町田市立博物館が語る 中国陶磁うつくし』町田市立博物館、2016年(解説 佐藤サアラ)
常盤山文庫中国陶磁研究会会報7『初期白磁』公益財団法人常盤山文庫、2018年(解説 佐藤サアラ)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 三笠景子)