コレクション

白釉褐彩扁壺

はくゆう かつさい へん こ

  • 鉛釉陶 高14.7㎝ 口径3.4㎝ 底径7.6×4.2㎝
  • 北斉~隋 6~7世紀
No.21064

型作りの扁平な胴を貼り合わせ肩に双耳を付けた「扁壺」と呼ばれる器種で、金属器を写した明器(めいき)である。唐三彩や褐釉の駱駝の俑には、しばしばこの形の扁壺を背にした姿のものがあり、両耳に鎖を通し駱駝の背にかけて用いた水筒であったことがわかる。本作は型で葡萄唐草に鳳凰文を表し、その上に鉄釉で褐斑を散らしている。
 扁壺は現在世界各地の美術館に収まっており、その形にいくつかの類型があること、文様も異国風な要素を軸に様々なものがあること、金属器を写した明記として緑釉、褐釉、白磁、三彩があることがわかる。年代のわかる例としては、北斉では武平7年(575)、河南省安陽の范粋墓から褐釉、河北省磁県の高潤墓から緑釉、下って隋の大業4年(608)李静訓墓から白磁が出土しているが、本作とは形を異にする。
 北斉から隋、さらに唐で佳境を迎える西方との関わりの中で金属器を模した明器が盛んに作られるが、白地に褐斑を散らした本作は、唐三彩に先立つ例と考えたい。

蒐集家アルフレッド・クラーク旧蔵品。

掲載図書
『常盤山文庫と町田市立博物館が語る 中国陶磁うつくし』町田市立博物館、2016年(解説 佐藤サアラ)