祖師図(臨済禅師・猪頭和尚) 曾田友柏 筆 文英清韓 賛
そ し ず (りんざいぜんし ・ ちょとうおしょう ) そうだゆうはく ぶんえいせいかん
- 紙本墨画 二曲屏風装 118.7×53.0㎝
- 江戸時代 17世紀
No.13043
本作は祖師が善の悟りを開く契機となった事跡を絵画化したもので、当財団の祖師図(百丈野鴨子 13042)とともに、もとは十二図を各扇に一図ずつ貼り交ぜた六曲一双の押絵貼屏風であったという。
図中に「曾田」(白文重郭長方印)および「友柏」(朱文方印)と読める二印がある。画史にその名や伝記を逸している曾田友柏と称する画家の画風や描写形式は、桃山時代に活躍した武家出身の画家、海北友松(かいほうゆうしょう 1533-1615)に近く、印章の形式も近似する。友松は晩年に、押絵貼屏風とするための画、すなわち本図ほどのサイズの道釈人物・山水・花鳥・走獣等の図を多量に描いたことを伝える記録があり、同時に友松の影響を受けたと思われることの窺われる狩野山楽筆や狩野内膳筆の禅宗祖師図も散見される。こうした没骨による減筆体の友松様式とも呼べる人物図を描く絵師たちが友松の周辺にいたことは十分に想像される。友柏はその有力画家の一人である。
賛者の文英清韓(?-1621)は東福寺住持、豊臣家学事顧問を務めた禅僧であり、豊臣家没落の端を発した方広寺梵鐘銘の筆者としても知られる。
掲載図書
『飛梅余香』常盤山文庫、1967年(解説 菅原壽雄)
『常盤山文庫名品展』神奈川県立博物館、1983年(解説 衛藤駿)
『常盤山文庫名品選 墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 河合正朝)