コレクション

緑釉小円硯

りょく ゆう しょう えん けん

  • 高2.3㎝ 硯面径3.0㎝ 底径5.5㎝
  • 隋~初唐 7世紀
No.21049

隋から唐の出土資料を収集してみると、この時期に特徴的な出土品の一つに、中国で「辟雍硯(へきようけん)」と呼ばれる多足の円硯がある。常盤山文庫には白磁3点、緑釉1点の円硯があるが、円硯には当文庫所蔵のように硯面を支える多足の下に円環を伴うタイプと、円環を伴わないタイプの二種があり、これまでの出土資料では、前者は陝西省および寧夏固原、後者は河南省と出土地域が異なっている。先に現れるのは円環を伴わない多足のタイプで、6世紀末頃の河南省安陽に現れ、そののち隋も7世紀に入ると陝西省で、河南省とは異なる円環を伴う形のものが現れるようになる。緑釉に関しては寧夏固原の7世紀後半の墓に出土例がある。

掲載図書
『常盤山文庫と町田市立博物館が語る 中国陶磁うつくし』町田市立博物館、2016(解説 佐藤サアラ)
常盤山文庫中国陶磁研究会会報7『初期白磁』公益財団法人常盤山文庫、2018(解説 佐藤サアラ)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023(解説 三笠景子)