芦葉達磨図 乾峰士曇 賛
ろ よう だるま ず けんぽうしどん
- 紙本墨画 86.2×32.8㎝
- 南北朝時代 14世紀
No.13067
芦葉達磨は、禅宗の初祖である菩提達磨がインドから中国へ渡り梁の武帝と問答したものの、意が通じず機縁がないことを知り、一枚の芦の葉に乗って長江を渡って北方へと去ったという伝説を描くもの。本作では筆数を最小限に抑えた減筆体により、芦の上で風に吹かれる達磨の形象を巧みに表現している。
図上部には鎌倉時代から南北朝時代に活躍した禅僧・乾峰士曇(1285-1361)の賛がある。乾峰士曇は筑前博多の出身で、南山士雲に師事してその法を嗣いだ。東福寺、南禅寺を歴任し、文和年間(1352-55)には建長寺、円覚寺を兼任するなど、京都・鎌倉の両五山をまたいで活躍した。「前住南禅」と記していることから、乾峰が南禅寺を退いた観応年間(1350-52)から没年にあたる康安元年(1361)の間に着賛されたことがわかる。
掲載図書
『常盤山文庫名品選 墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 河合正友
『常盤山文庫創立80周年記念名品選』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 植松瑞希)