コレクション

茉莉花図  伝 趙昌 筆

 まつ り か ず     ちょうしょう

  • 絹本着色  縦26.9㎝ 横27.2㎝
  • 南宋時代 12~13世紀
No.12012

南宋時代の折枝画(枝先のみを描く花卉図)の優品として著名な作品である。花や葉、枝はそれぞれ複雑に重なり、前後関係が明瞭に示され、奥行が意識されている。葉と花の質感の違いが表現されているとともに、葉脈から周縁にかけての緑の濃淡や、白の花弁の縁にかけられた薄い青緑色など、色彩の諧調変化も丁寧に施されている。
 もと足利将軍家にあったといい、上田道字なる人物を経て菊屋樵斎の手に渡り、当時の茶会で津田宗及(1591年没)、山上宗二(1544-90)、神谷宗湛(1553-1635)、らに称賛された名物である。当時は北宋時代の宮廷画家、趙昌筆と考えられていた。付属の由緒書には、豊臣秀吉(1537-98)から激賞され、東本願寺の宣如(1604-58)を通じて徳川将軍家に献上されたとある。

来歴
 足利将軍家 - 上田道字 - 菊屋樵斎 - 東本願寺 - 徳川将軍家 - 赤星弥之助(1853-1904)- 小倉常吉(1865-1934)- 菅原通濟(1894-1981)

掲載図書
『飛梅余香』財団法人常盤山文庫、1967年(解説 菅原壽雄)
『墨の美』常盤山文庫、1972年
『常盤山文庫名品選 墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 河合正朝)
『東山御物の美 足利将軍家の至宝』三井記念美術館、2014年(解説 板倉聖哲)
『茶の湯』東京国立博物館、2017年(解説 植松瑞希)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 植松瑞希)
『國華 特輯 常盤山文庫の宋元美術』第1534号、國華社、2023年(解説 植松瑞希)
ほか