コレクション

近江八景図  海北友雪 筆

 おうみはっけいず  かいほうゆうせつ

  • 紙本淡彩 巻子一巻 27.6×333.3㎝
  • 江戸時代 17世紀
No.13045

中国宋代に、湖南省の洞庭湖をめぐる水景を含む勝地を瀟湘八景と称し、詩に詠み絵に描くことが行われた。それが日本にも伝えられたのはおそらく鎌倉時代で、やまと絵の名所絵の考えと結びついて親しまれ、金沢八景や近江八景もやがて生まれたものと思われる。本図は、矢橋の帰帆、瀬田の夕照、粟津の晴嵐、石山の秋月、唐崎の夜雨、三井の晩鐘、堅田の落雁、比良の慕雪の「近江八景」を順に墨の濃淡の諧調を活かし、僅かに彩色を添ずる行草両画体の混在する没骨描によって表されている。巻末には「行年七十三歳 海北友雪斎図」の款記と「海北」の朱文印、「友雪斎」の白文印がある。

掲載図書
『飛梅余香』常盤山文庫、1967年(解説 菅原壽雄)
『常盤山文庫名品展』神奈川県立博物館、1983年(解説 衛藤駿)
『常盤山文庫名品選 墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 河合正朝)