青磁五輪花碗
せい じ ご りん か わん
- 五代~北宋 10~11世紀
No.21053
口縁・胴ともに刻みを入れて五輪花形に作られた碗で、小さめの高台から口縁に向かって大きく開いた様子は花が開くようである。底部を残し全体に白化粧、高台内から畳付きまですべて施釉した総釉で、畳付きに三点、支焼痕がある。釉は失透質、白濁した様子を見せる。高台裏には白化粧がないが、土に雑物が少ないのか、あるいは失透した釉のせいか、白化粧を施す作品に多く見られる鉄銹斑はない。陝西省考古研究所と耀州窯博物館が耀州窯の五代期とする黄堡窯は白化粧の作品が出土品の大半を占めるが、そこに本作のような、小さめの高台から大きく花開くような口部を呈する器形、白濁感の強い釉調の青磁は見られなかった。黄堡窯と同時期に、黄堡窯とは別に、華北のどこかにこうした青磁を焼く窯があった可能性もあるだろう。
掲載図書
『常盤山文庫中国陶磁研究会会報5 青磁「東窯」』公益財団法人常盤山文庫、2013年(解説 佐藤サアラ)
『常盤山文庫と町田市立博物館が語る 中国陶磁うつくし』町田市立博物館、2016年(解説 佐藤サアラ)