コレクション

青磁劃花文托

せい じ かっか もん たく

  • 越窯 口径2.5㎝ 径14.4㎝ 底径6.6㎝
  • 五代~北宋 10世紀
No.21039

幅の広い鍔状の縁を持った托で、縁の上には細い線描の丁寧な劃花で、大きな九つの霊芝を重なるように連ねて表している。酸化気味の焼成なのか、一部に越窯らしい深い灰青色を見せるが全体的に黄みを帯びている。
 唐時代の越窯に求められたのは色の美しさであったが、五代に入ると繊細な劃花による装飾が急速に発展する。本作はそうした五代に花開いた越窯の一点であろう。本作と同様の越窯の托は、呉越国王銭元瓘妃馬氏が葬られた康陵(939年)から出土しているが、無紋である。呉越国の皇族や貴族の墳墓から出土する越窯はほとんどが無紋である。晩唐で作られた秘色青磁への回顧であろうか。

掲載図書
『常盤山文庫中国陶磁研究会会報5 青磁「東窯」』公益財団法人常盤山文庫、2013年(解説 佐藤サアラ)
『常盤山文庫と町田市立博物館が語る 中国陶磁うつくし』町田市立博物館、2016年(解説 佐藤サアラ)