コレクション

青磁碟

せい じ せつ

  • 高1.8㎝ 口径9.2㎝ 底径7.5㎝
  • 宋 12世紀
No.21021

底裏五か所に小さな目跡を残す碟である。緻密で硬い胎土、全体に均一に薄くかかる灰緑色の釉色、釉調から越窯を思わせるが、現段階で越窯からこのような小さな目跡、支釘痕のある作品の出土は報告されていない。こうした極めて小さな目跡は、器全面に釉をかける総釉を狙い、かつその総釉のために用いる窯道具のあとをできる限り目立たないよう工夫した結果であり、その創意は北宋の汝窯で見られ、南の南宋官窯へとつながる。そうした流れの中で本作はどのような位置にあるのか、現段階で明確なことを語るのは難しく、今後の発掘により新たな資料が現れることを待ちたい。

掲載図書
『常盤山文庫中国陶磁研究会会報5 青磁「東窯」』公益財団法人常盤山文庫、2013年(解説 佐藤サアラ)
『常盤山文庫と町田市立博物館が語る 中国陶磁うつくし』町田市立博物館、2016年(解説 佐藤サアラ)