足利尊氏筆 清水寺奉納願文
- 紙本墨書、30.4×46.6㎝
- 南北朝時代・建武3年(1336)
No.11044
足利尊氏(1305‐58、在位1338‐58)が、建武3年(1336)8月17日に清水寺に奉納した自筆の願文。冒頭で、この世は夢のようだと、その儚さを述べたのち、尊氏自身に道心を賜い、今生の果報に代えて後世の助けとなることを願い、更に弟の足利直義に今生の果報、安穏を賜うことを祈念して結んでいる。
[釈文]
この世ハ夢のことくに候。尊氏に/たう心たハせ給候て、後生たすけ/させをハしまし候へく候。猶々/とくとむせいしたく候。たう心/たハせ給候へく候。今生のくわほう/にかへて、後生たすけさせ/給候へく候。今生のくわほうをハ直義/にたハせ給候て、直義あむをむに/まもらせ給候へく候。/建武三年八月十七日、尊氏(花押)/清水寺
掲載図書
『飛梅余香』財団法人常盤山文庫、1967年(解説 菅原壽雄)
『墨の美』常盤山文庫、1972年
『常盤山文庫名品選 墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 高橋範子)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 六人部克典)
ほか
