コレクション

重要文化財

剣門妙深筆 聖一国師宛尺牘

けんもんみょうしん     しょういつこくし あて せきとく

  • 蝋箋墨書 29.6cm×55.7cm
  • 南宋時代 淳祐9年(1249)
No.11002

剣門妙深(?-1249=?)が東福寺開山の円爾(えんに 聖一国師 1202-80)に、無準師範(ぶしゅんしばん 1177-1249)の死を知らせた尺牘(手紙)。笹の模様の蝋箋(ろうせん*)に記された書は、二人の共通の師であった無準が、その臨終に際し語録出版を円爾らに託したことを告げている。
本作は無準師範の遺言と語録の編纂の背景を示すばかりでなく、無準門の高弟の中での円爾の位置や、剣門妙深と円爾の親密な関係を伝える資料として貴重である。本紙に捺された「普門院」朱文長方印や、江月宗玩『墨蹟之写』元和六年(1620)の記載内容から、かつて東福寺、清泉寺に伝来したことが知られる。

*蝋箋:元来は唐紙の一種で、平安時代に渡来した。薄く胡粉引きした染紙に、裏から木版をあて、上からこすって空刷りして文様をあらわしている。

益田鈍翁旧蔵

掲載図書
『飛梅余香』財団法人常盤山文庫、1967年(解説 菅原壽雄)
『墨の美』常盤山文庫、1972年
『常盤山文庫名品選 墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 高橋範子)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 六人部克典)