コレクション

送海東上人帰国図  鍾唐傑・竇従周 賛

そう かいとう しょうにん きこくず  しょうとうけつ・とうじゅうしゅう 

  • 紙本淡彩 63.6cm×36.3cm
  • 南宋時代 紹熙5年(1194)頃
No.12001

水辺のあずまやかのかたわらに小さく五人の人物が見え、うち数人は岸までかけより、拱手の礼を示している。挨拶を送られているのは、高波の上を進む船の後ろにたたずむ僧侶であろう。日本からの留学僧が帰国に際し友人から贈られたものであることが画中に記された賛からわかる。賛者は朱子(1130-1200)の高弟である鍾唐傑と竇従周(1135-96)、日本から中国大陸に来た「上人」とだけ呼ばれる人物の優れた学識・人格を称賛しつつ、杭州(浙江省)で出会って仏法や詩作について議論し、宴を楽しみ、名勝に遊ん日々を懐かしみ、別れを惜しんでいる。 鍾唐傑と竇従周の事跡から、以上は紹熙5年(1194)頃の出来事と推測されている。
江戸時代の儒学者伊藤東涯(1670-1736)は本図を考証して「栄西禅師帰朝図」とし、以後栄西(1141-1215)帰国の図として珍重されてきた。その後の研究で南宋から帰国した僧侶についてほかにも候補が挙げられたが、いまだ特定に至っていない。

来歴
 篠崎小竹(1781-1851)、鳥尾小弥太(1848-1905)、小倉常吉(1865-1934)、菅原通濟(1894-1981)

掲載図書
『飛梅余香』財団法人常盤山文庫、1967年(解説 菅原壽雄)
『墨の美』常盤山文庫、1972年
『常盤山文庫名品展』神奈川県立博物館、1983年(解説 衛藤駿)
『常盤山文庫名品選 墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 板倉聖哲)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 植松瑞希)
『國華 特輯 常盤山文庫の宋元美術』第1534号、國華社、2023年(解説 板倉聖哲)
ほか