コレクション

帰郷省親図  伝周文筆 顎隠慧奯等十三僧賛  

 ききょうせいしん ず    しゅうぶん  がくいんえかつ    

  • 紙本淡彩 83.9cm×25.7cm
  • 室町時代 15世紀
No.13020

細長い画面に絵と数多くの漢詩文が記された形式を詩画軸といい、応永年間(1394-1428)を中心に禅林で大流行した。詩画軸には書斎図や詩意図といった種別があるが、中でも本作は数少ない送別図の遺例として知られる。五山での修行を終えた友人の僧が、年老いた母への孝行のために故郷の山陰へと帰郷するのに際して作られたもので、冒頭に記される「初穐(秋)送人帰郷省親」が作品名の由来となっている。鄂隠恵奯(1357-1425)を筆頭に十三僧が別れと激励の言葉を書きつけているが、中心は建仁寺僧と相国寺僧であり、本作を送られた僧侶もそれらの一派に属していた者であろう。賛者の没年や活躍期などから、およそ応永24年(1417)頃の制作とみられ、応永詩画軸を代表する送別図として知られる。

掲載図書
『飛梅余香』財団法人常盤山文庫、1967年(解説 菅原壽雄)
『墨の美』常盤山文庫、1972第第
『常盤山文庫名品展』神奈川県立博物館、1983年(解説 衛藤駿)
『常盤山文庫名品選 墨の彩り』常盤山文庫、2003年(解説 河合正朝)
『室町将軍家の至宝を探る』徳川美術館、2008年(解説 志賀太郎)
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 高橋真作)
ほか