コレクション

青磁鳳凰耳花入

せいじほうおうみみはないれ

  • 龍泉窯 高27.5cm
  • 南宋時代 13世紀
No.21004

鳳凰耳花生は日本に数多く伝世品があるが、作品ひとつひとつ、全体の細さや頸と胴のバランス、肩の張りや鳳凰耳の細部の作りなどにそれぞれ違いがある。本作は鳳凰耳の作りが非常に丁寧で、顔は目や嘴、鶏冠がきっちりと陽刻され、細い頸はしっかりと頭をもたげて胸をはったようなラインをつくり、鈍さのないその姿が全体をきりっとしたものにしている。ほかの作品には見ない肩の丸みも本作の特徴である。内箱の蓋表には、旧箱から切り取られた箱書「青地花瓶口花入」が嵌め込まれている。蓋裏に添付された古筆了伴による極によれば、箱書きは金森宗和である。

掲載図書
『千声・万声と龍泉窯の青磁』和泉市久保惣記念美術館、1996年(解説 船木佳代子、橋詰文之)
『南宋の青磁―宙をうつすうつわ』根津美術館、2010年(解説 佐藤サアラ)
『日本人が愛した中国陶磁 龍泉窯青磁展』龍泉窯青磁展開催実行委員会、2012年(解説 徳留大輔)
『常盤山文庫と町田市立博物館が語る 中国陶磁うつくし』町田市立博物館、2016年(解説 佐藤サアラ)
佐藤サアラ「日本における青磁賞翫史 常盤山文庫所蔵南宋青磁を通して」『國華第1534号 特輯 常盤山文庫の宋元美術』國華社、2023年
『常盤山文庫創立80周年記念名品選 蒐集のまなざし』公益財団法人常盤山文庫、2023年(解説 三笠景子)