展示情報

東京国立博物館本館総合文化展《中国の陶磁》

期間
令和5年9月5日~12月24日
会場
東京国立博物館東洋館5室

東京国立博物館東洋館の常設展示、総合文化展《中国の陶磁》で、当財団所蔵の青磁皿が展示されます。この作品は、底裏まで釉をかけた「総釉」、そこに極めて小さな、目跡(焼成の際に用いた支え具の痕)が5個あるのが特徴です。緻密な硬い土、全体に均一に薄くかかる灰緑色の釉色・釉調から越窯を思わせますが、現段階で越窯からこのような支焼痕のある作品の出土は確認されていません。こうした支焼痕は、耀州窯の五代期とする黄堡窯址出土品に見られますが、北宋期の耀州窯の報告にはなく、次に見られるのは河南省汝窯です。そこでは目跡ができる限り目立たないようにという工夫がされ、それはさらに南宋官窯へとつながってゆきます。この作品については現段階では時代、産地とも明確なことを言えませんが、北宋から南宋にかけての北と南の青磁生産の動きを考えさえる作品と言えるでしょう。