コレクション

重要文化財

蘭渓道隆墨蹟 看経榜断簡

らんけいどうりゅうぼくせき かんきんぼうだんかん

  • 紙本墨書 32.4cm×94.3cm 
  • 鎌倉時代 13世紀
No.11008 

中国南宋の僧侶、建長寺の開山でもある蘭渓道隆(大覚禅師 1213-78)の墨蹟。蘭渓道隆の来日・帰化は日本に本場宋代の禅をもたらしたといわれる。建長5年(1253)、執権北条時頼は蘭渓を開山として鎌倉に建長寺を創建、蘭渓は時頼の信任を一身に背負った。この墨蹟は、時頼の子、執権時宗(1251-84)の治世が安らかに続くことを願った祈願が記されている。冒頭より十万の諸天諸神によびかけ、「もっぱら祈ることは、弟子時宗が長くその位にあることを助け、矢を放つことなく四海安和に、矛を露わにすることなく群魔をとどまり休ませ、徳仁をすべて迅速に行い、寿福をますます堅実なものとし、知恵の灯矩をとって暗い道を照らし、慈心を現して危うきに恵みを与え、諸天に救い守られ、衆聖にはひそかに救われ、昼も夜も吉祥が重ねて集まらんことを」と記されている。
この墨蹟の「看経榜断簡」とは、まず完全な形でなく一部が残されていることで断簡、「看経榜」とは「看経」はお経を看読(黙読)すること、「榜」は修行道場における掲示板を意味する。すなわち、時宗の治世安泰を祈願するにあたり、「あらかじめ掲示して僧侶たちの分担を定めたものの前半部」と解釈されている。